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自然老化と光老化の違いとは?


UV太陽紫外線のUV-Aが「光老化」を促進する主原因になっていることについては以前の投稿でも詳しく説明してきました。UV-Aは波長が長いため低エネルギーで生体に及ぼす影響は決して強くありませんが皮膚へ進達し真皮にさまざまな悪影響を及ぼします。

「自然老化」とはその名の通り加齢とともに現れる生体の自然な皮膚の老化のことを言います。日光にほとんど曝されない体幹である腹部・臀部・腕や足の内側などの部位に比較的滑らかですが弾力性を欠いた外観で現れ進行します。キメが粗いとも浅いとも表現されます。表皮の厚さは薄くなり、角層のターンオーバーは遅くなり、メラノサイトが減少してメラニンの生産が低下し、ランゲルハンス細胞もやや減少します。真皮のコラーゲンは減少し、グリコサミノグリカンもやや減少しますが、エラスチンはやや増加します。

「光老化」はUV太陽紫外線によって引き起こされる皮膚老化のことを言います。日光に曝されることの多い顔面・うなじ・手の甲・腕や足の外側などの部位にゴワゴワやシミやシワといった外観で現れ進行します。キメは変形し消失することもあります。表皮の厚さは肥厚〜薄くなり、角層は不均一になり、メラノサイトは増加しメラニンの生産を亢進し、ランゲルハンス細胞は減少します。真皮のコラーゲンは配向の乱れを伴い著しく減少し、グリコサミノグリカンも減少、エラスチンは著しく変性し塊状に沈着し、微小血管に走向の乱れや異常な血管新生が見られます¹。

光老化を引き起こす主原因であるUV-Aは雲や霧や窓ガラスを透過します。2017年4月に公共交通機関(JR・新幹線)の博多ー小倉間で我々が実施した調査結果は、窓ガラスを透過したUV-Aの平均UV指数は「2」でした。ちなみに同時刻の屋外平均UV指数は「5」でした²。UV-Aは間違いなく窓ガラスを透過しているのです。


上の画像は2012年にNorthwestern Universityのennifer R.S. Gordon, M.D.とJoaquin C. Brieva, M.D.が発表したアメリカで28年間配送トラックの運転に従事した69歳のトラック運転手の光老化を顕著に表した事例写真です³。この方を見てもあなたは「日光を浴びる時間はほんの数分だから大したこと無い」と言えますか? QSunは窓ガラスを透過する微量のUV-Aもしっかりと捕捉してあなたに予防の注意を促します!

Sources:

1.平尾哲二 著 - 医師・医療スタッフのための化粧品ハンドブック - 中央医学社(2016.12.10)
2.From a joint research by Comfable Inc. and RedMARS AD+Venture Inc.
3. The New England Journal of MEDICINE
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1104059

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